終活のひとつに、生前整理というものがあります。
生前整理とは、家族の負担を軽減するために、そして自身の死後の希望を叶えるために、身の回りのものや財産を整理することをいいます。
生前整理の重要なプロセスの一つが遺言書の作成です。

遺言書は、自身との身分に関することや相続に関することを記した書類で、法的拘束力があります。
自身との身分に関することとは、例えば愛人との間の子どもを子どもとして認めるか否かなどについてです。
相続は誰に何をどれくらい相続させるか、どのように相続させるかを記します。

一口に遺言書と言ってもその種類はさまざまです。遺言書の種類について見ていきます。

○自筆証書遺言
自筆証書遺言はその名の通り、遺言書を遺す本人の手によって書かれた遺言書のことです。遺言書の内容、日付、氏名を書いて押印をします。
自分で書くといってもパソコンなどを利用して書いてはなりません。他人の手で書かれたものも無効となります。
自筆証書遺言は自分で書けるため、自身の希望をそのまま書けますし、事前に人に知られることはありません。
ただし、短所として内容に問題がある場合は遺言書が無効となる場合や紛失したり、誰にも見られないまま相続が行われるというケースもあるということを知っておきましょう。

○公正証書遺言
公正証書遺言とは公証人という法律の専門家が作成する遺書で、公証役場に行き2人以上の証人立ち会いのもと遺書が作成されます。
遺書を遺す本人が公証人に遺書の内容を伝えるという形で作成され、書類の保管も役所が行います。
公正証書遺言は紛失や改ざんの心配がないため、法的効力のある遺書を遺すことができます。一方、遺言の内容を他人に知られてしまうことや費用がかかるといったデメリットがあります。費用は相続の金額や相続人の数によって異なります。

○秘密証書遺言
秘密証書遺言とは自筆証書遺言と公正証書遺言を合わせたような遺書です。
まず遺書の内容を記しますが、内容はパソコンで記しても他人に書いてもらっても問題ありません。
ただし、自身の氏名は自筆し、印鑑を押します。
そして書いた遺書を封筒に入れて糊付けをして糊付けをしたつなぎ目に印鑑をして封印します。封筒に押す印鑑は遺言書に押した印鑑と同じものでなければなりませんから、注意が必要です。
その後、公証役場にて公証人に封筒を差し出して公証人立ち会いのもと遺言として認めてもらうという形です。書類の管理は役所ではなく、自身で行います。

秘密証書遺言は遺言の内容を誰かに知られることはなく、書き換えられる心配もありませんが、紛失するリスクや費用がかかるというデメリットがあります。
また遺言の内容に問題があり、無効となるケースもあるため注意が必要です。

遺言書は法的拘束力のある文書であるため、エンディングノートに記載するものとは性格が大きく異なります。
相続でトラブルとならないよう、事前に準備をして作成することをおすすめいたします。

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